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ピース オブ ライト④ 子マァム&レイラ

アバン先生本の続きです。子マァム編と思いきやレイラの出番が多すぎてほとんど出てきません。
ロカの死因やヒュンケルを失った後の先生を捏造しています。ダイ大のパーフェクトブックを片手に時代を合わせて書いたつもりですが、大丈夫かな…。

レイラ好きなので書いていて楽しかった記憶があります。ちびマァムにも「あばんさま」と言わせたので満足。

関係ないですが、ヒュンケルが先生と旅立つ時には既にマァムは生まれているんですよね。村に預けられていたのだろうと思いますが、もしかしたら二人が旅立つ前に一度会っていて、ヒュンケルは赤ん坊のマァムを見たときの事を覚えていたりしたらなんだかときめくなぁとふと思いました。ヒュンケルが初めて見た人間の赤ちゃんがマァムだったら、なんだか嬉しい。完全に妄想ですが(汗)

続きから小説です。短いですがお暇つぶしに。
自らの過失の為にヒュンケルを失ったアバンは自分を責め続け、それ以降弟子を取る事はせず、自分の力の全てを書物に書き留める事に全力を尽くしていた。武芸・呪文・精神のすべてを後世に伝える為に。その間もヒュンケルの行方を探し続けたが掴む事は出来なかった。
約3年の歳月を経て完成させた書物をアバンの書と名付け、母国カールに保管願いの書状と共に送ったアバンは、王家よりの火急の返信に愕然とした。それはカール騎士団長を務めていたロカの死亡の報せを告げる書簡だったのだ…。
「そんな…あのロカが死ぬなんて…そんな事があるはずは無い…!」


***
アバンは急ぎレイラの故郷であるネイル村に向かった。今はマァムを連れ、故郷に戻っていると書簡には書かれていたからだ。書簡の内容は本当に違いないだろう、だが、アバンはレイラの口から聞くまで真実を受け入れる事が出来ないでいた。
「レイラ…」
「まぁ!アバン様!!ご無事だったんですね、良かった…。そのご様子ではフローラ様からお聞きになったのですね、主人の事…」
「本当に…?本当なんですかレイラ!ロカが、あのロカが死んだなんて…いったい何故!?」
「あれは、今からもう3年も前になります。それまで病気一つした事が無かったあの人が突然倒れて…自分で動く事も出来なくなってしまったんです。回復呪文も効かず、薬草も効かず…フローラ様や城の皆さんが必死に治療法を探して下さいましたが、どうすることも出来なかった…倒れてから2ヶ月後にロカは亡くなってしまったんです」
レイラの話をアバンは立ち尽くして聞いていた。
(何故、自分はロカの力になってやることが出来なかったのか…ロカは死力を尽くして私を助けてくれたというのに…。死に際に立ち会うことすら出来なかった…。)
後悔の念がアバンに押し寄せ、アバンはがっくりと膝を落とした。
「…アバン様、ご自分を責めないで下さい。あの人の病は誰にもどうすることも出来なかった。神様が定めたあの人の運命だったのだと、今は私も受け止めています」
「おかあさん、その人だぁれ?」
家の奥から小さな女の子が顔を覗かせた。レイラに良く似た可愛い女の子だ。
「マァム、この人はねアバン様というの。お父さんのお友達なのよ。ご挨拶しましょうね」
「あばんさま?こんにちは、わたし、マァムです」
「…こんにちは、マァム。大きくなりましたね…」
可愛くお辞儀をして挨拶するマァムを見ていると、赤ん坊の頃のマァムを嬉しそうに抱き締めていたロカを思い出す。あんなに、マァムの成長を楽しみにしていたロカを思うとアバンの目から涙がこぼれて、止める事が出来なかった。
「どうしたの?あばんさま?どこか痛い?」
心配げにアバンのそばに駆け寄り、気遣うマァムに、レイラがそっと声を掛ける。
「アバン様はね、今とても悲しい事があって元気が無いの。でも少し休めばまた元気になるわ。今夜はアバン様の為に美味しい料理を作りましょうね。さ、マァムは長老様の所へお手伝いに行く時間でしょう、遅れるからもう行きなさい」
「はぁい。あばんさま、早く元気になってね!行ってきまぁす」
マァムを見送り、レイラはアバンに椅子を勧め気持が落ち着くようにと暖かいお茶を淹れた。
「ありがとう、レイラ。すみません取り乱してしまって…。私なんかより、あなたの方がずっと辛い思いをしたでしょうに…」
「大丈夫。あの人が最後に言ってくれたんです。私に会えて、マァムが生まれて幸せだった。ありがとうって。あの人の人生は本当に短いものだったけど、とても充実していたんですもの。だから私がいつまでも泣いてちゃいけないって思ったんです」
「強くなりましたね、レイラ…」
「私にはマァムが居ますもの!だから、あの人の思い出だけでも生きていけるんですわ」
「レイラ…ロカは本当に素晴らしい女性をお嫁さんにもらったのですね」
レイラはアバンに優しく微笑み返すと、気になっていた事を尋ねた。
「アバン様はあれからどうされていたのですか?ずっと行方が知れなくて、フローラ様も心配しておいででした。それに、ヒュンケルの姿が見えませんが…」
アバンはレイラに今までのいきさつを話して聞かせた。自分のせいでヒュンケルを失った事、もう弟子は取らない事、これからもヒュンケルを探し旅を続けて行く事などを…。
「そんな事があったのですか…でもヒュンケルは生きていると信じておられるのでしょう、アバン様?それなら、何故弟子をお取りにならないのです?」
「…それは、私にはもう子供を導く資格は無いと…」
「アバン様…主人が亡くなる前にアバン様に宛てて言い残した言葉があります」
「ロカが私に…?」
「自分の代わりにマァムに修行をつけてもらいたいと。いつか来る世界の危機に立ち向かう勇者を手助けする為に、強い心を持った戦士にしてやって欲しい…と言っていました」
「しかし、マァムは女の子です。戦士などには…。それに私はもう…」
「アバン様はいつか来る世界の危機を救う子供達を導く為に旅に出られた…主人はアバン様を誰よりも信じていました。だからあなたの旅立ちを寂しく思いながら止めなかったのです。ロカもフローラ様も私も…あなたの選ぶ道がいつも正しいと心から信じているのです。アバン様は私達の希望の光。いいえ、次の世代を担う子供達にとっても…だからマァムを弟子にしてやってください。どうかお願いします」
レイラの言葉に黙って何かを考えているアバンに、レイラはさらに言った。
「それにアバン様、ヒュンケルはきっと生きています。このまま弟子を作らなかったらヒュンケルは一人になってしまう。アバン様の弟子という繋がりがきっとヒュンケルを助ける日が来る…私にはそんな気がします」
アバンはレイラの言葉で、自分の使命を見失っていた事に気付いた。次代の勇者を育てる事…それが自分に課せられた、自分にしか出来ない事なのだと…。
「…分かりました、レイラ。マァムを私の弟子とし、ロカに代わって鍛える事を約束します。ヒュンケルを失い、私の目は曇っていた…。目を覚ましてくれてありがとう」
「アバン様。マァムをよろしくお願いします」

***
マァムはロカ、レイラの血を引いているだけあってとても筋が良く飲み込みも早かった。戦士より若干力は弱いものの、回復系呪文も使えるのでバランスの取れた能力といえた。しかし戦士として戦うには心が優しすぎるし、少々怖がりな所もある女の子だったので、アバンはマァムに卒業の証を与えるのをためらっていた。これを渡す事でマァムに正義の使徒として戦うことを強制し、無理をさせてしまうのではないかという危惧があったからだ。
しかし、修行を続ける内に、マァムの中にある本当の強さに気付いた。全ての者に惜しみなく注ぐ深い愛情、大切なものを守り抜く心の強さ。マァムの中の今はまだ小さな暖かい光に触れた時、アバンは確信した。この子には悪に立ち向かう力がある。そして闘いで傷ついた仲間達をその深い優しさで癒してくれるであろう事を。
マァムに卒業の証と魔弾銃を渡し、アバンは再び旅立った。
この世界のどこかにいる、正義を受け継ぐ資質を持つ子供達を導く為に…。
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